初めての無人島

まずはじめに、私が無人島に行こうと思った理由をお話しさせてほしい。
ずっと野山や河川で野営(キャンプ)を行っていたのだが、楽しみといえば焚き火とコーヒーだった。
自然の中で飲むコーヒーは信じられないほど美味しく、野営を始めてからこの環境で嗜むコーヒーが特別な存在になっていた。
ある日、友人との会話で『どのシーンで飲むコーヒーが一番美味いのか?』と議論になった。
その中で出た答えが言うまでもなく無人島”だった。

早速その友人と無人島を探したのだが、個人所有や県・市が所有しているものが多く、役所や管理会社に電話しては断られの繰り返しだった。
たくさんの時間とコネクションをフル活用ののち、ようやくとある島の上陸許可が下りた。

せっかく無人島に行くのだから普段の野営とは違った事がしたい謎の欲に駆られ2人で審議した結果
テント・食糧現地調達のレギュレーション(制限)を設けたのだった。

無人島の洗礼

いよいよ当日。
朝6時頃に上陸したのだが、潮の関係で自磯に降りる事になりパニック。
なぜなら、島の地形を事前に調べてベースキャンプの場所をある程度決めていた。と言うよりこの島は自磯に囲まれた山なので一箇所しかベースになる所が無かったのだ。
上陸したのはベースキャンプ予定地のほぼ真裏。 
考えたく無かったのでまずはその場でコーヒーの準備。
落ちている小枝を集めお湯を沸かしている間にミルで豆を挽きハンドドリップ。
当然のごとく絶品であった。


最高のコーヒーに舌鼓を打っていたが、ベースキャンプに行かなければ何も始まらないので向かうことに。

15kgのバックパックと2人分の水が入ったタンク10kgと釣竿を持ち、足場の悪い自磯を慎重に歩きながら道無き道をひたすら歩いた。落ちたら間違いなく大怪我レベルなので本当に恐怖。
所々に数メートルの磯の壁が出現し行く手を阻まれる。山の方へ迂回するも、相手は手付かずの自然。ナタで木々や草を掻き分け、時にはほふく前進を駆使し、出発から3時間ようやくベースキャンプへ。
さすがは無人島。この時点で既にヘトヘトである。

シェルター製作

ゆっくりしていると日が暮れるので体に鞭を打ちシェルター作り。
流木を拾い、骨組みを組み立てる。

葉っぱを乗せる。
なんともチープで隙間だらけだが、ひとまずシェルターの完成。資材調達から約1時間30分程で完成した。
これはデブリハットというネイティブ・アメリカン発祥のサバイバル術。現地調達で作れるシェルターなのである。

食糧調達


次に食糧調達だ。
ベースキャンプまでの移動とシェルター作りに加え、コーヒーと水しか口にしていないので当然空腹。今すぐにでもカップ麺やおにぎりを喰らいたいが、そんな物あるはずもないので釣りをすることに。
釣りは待つのが退屈で年に1回やる程度なのだが、同行の釣りジャンキーの友人に仕掛けを教えてもらった。
そして・・・

結構釣れた。
私がベラ4匹、友人がハタ2匹の釣果だ。
釣れなかったら意図しない断食モードだったのでこれには歓喜。
早速夕食の準備に取り掛かる。
シェルター前にリフレクターを設置。申し訳程度の防風だが立派に機能するキッチンだ。
ついでにコーヒー。

釣った魚はその辺の枝に刺して塩焼きで頂くことに。
空腹は最高の調味料とはよく言ったものだ。
口に入れた瞬間疲労が飛んでいく程の味。特にハタは高級魚なので身はフワフワで本当に美味かった。ベラはゴムみたいだったが。


シェルターから桜島が一望できる素敵なロケーションも最高のスパイス。

日が暮れても市街地は煌々としていたが島は静かで波音が心地いいBGM。
当日の過酷な労働を称え合い、2人は泥のように眠った。

至高のコーヒー

朝日が昇る前に起床し、メインイベントでもあるモーニングコーヒーの支度に取り掛かる。
我々が議論に議論を重ね導き出した最高のコーヒーの飲み方。
それは、朝日を見ながら無人島で飲むモーニングコーヒーであった。

遂にその瞬間が。


シュチュエーションも相まり、コーヒー史上最高の味。まさに至高のコーヒーを証明できる結果だった。

コーヒーが好きな方なら納得いただけると思うが、シュチュエーションで相当化ける飲み物だと思う。
想像してほしい。いつものコーヒーをベランダやテラスで飲むと不思議と美味しく感じるアレだ。アレを無人島で朝日を拝みながら飲むのだ。想像するだけで美味しいのが分かっていただけるのではないだろうか。

帰還

検証が成功し、大満足の結果だった。
想像よりずっと過酷だったが、想像よりずっと楽しく、また行きたいと思えた冒険だ。
そんな初めての経験をさせてくれた無人島に感謝しつつ無事に帰路に。

最後に、帰りに食べたチャーハンセットをは死ぬほど美味かった。

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